借金・債務と相続
被相続人の債務(借金、損害賠償債務等)も相続財産(マイナス財産)であり、これも相続の対象となります。相続人が、被相続人の債務を負わない方法としては、「相続放棄」と「限定承認」があります。
「相続放棄」をすると、はじめから相続人とならなかったものとみなされ、被相続人の権利や義務を一切受け継ぐことはありません。
被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等には,「限定承認」をし、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐこともできます。
相続放棄
韓国人を被相続人とする相続をめぐる紛争は、日本の裁判所においても、韓国民法を準拠法として解決することとなります。
韓国民法は、「相続人は、相続開始があったことを知った日から3月内に、単純承認若しくは限定承認又は放棄をすることができる。但し、その期間は、利害関係人又は検事の請求により、家庭法院がこれを延長することができる。」としています。
実務上、よく問題となるのは、この3ヶ月の熟慮期間後に思わぬ債務の存在が発覚した場合です。韓国民法は、「相続債務が相続財産を超過する事実を、重大な過失なく第1項の期間内に知ることができず、単純承認をした場合は、その事実を知った日から3月内に限定承認をすることができる。」としています。
相続放棄の手続き
相続財産が日本にある場合には、日本の家庭裁判所に対して相続放棄の申述をすれば足りますが、韓国内に相続債務がある場合には、韓国の家庭裁判所に対し相続放棄の申述をしなければなりません。韓国内に住所をもたない在日韓国人の場合には、大法院所在地の家庭裁判所であるソウル家庭法院に申述することになります。