公正証書遺言の手続
公正証書遺言の手続は以下のとおりです。
①証人2人以上の立会いのうえ、遺言者が公証人に口述する |
②公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ 又は閲覧させること |
③遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自が署名押印する |
④公証人が、その証書は方式にしたがって作成したものである旨を付記してこれに署名押印する。 |
公正証書遺言の作成に必要な資料は、事案によって変わってきますが、最低限、下記のものがあるとスムーズにいきます。詳細は、最寄りの公証役場にお尋ね下さい。
①遺言者本人の印鑑登録証明書 |
②遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本 |
③財産を相続人以外の人に遺贈する場合には,その人の住民票 |
④財産の中に不動産がある場合には,その登記事項証明書(登記簿謄本)と,固定資産評価証明書又は固定資産税・都市計画税納税通知書中の課税明細書 |
⑤証人予定者(2名)の名前,住所,生年月日及び職業をメモしたもの |
公正証書遺言の作成費用は,法定されています。まず,遺言の目的たる財産の価額に対応する形で,その手数料が,下記のとおり,定められています。
目的財産の価額 |
手数料の額 |
||
100万円まで |
5000円 |
||
200万円まで |
7000円 |
||
500万円まで |
11000円 |
||
1000万円まで |
17000円 |
||
3000万円まで |
23000円 |
||
5000万円まで |
29000円 |
||
1億円まで |
43000円 |
||
1億円を超える部分については、5000万円毎にそれぞれ加算 |
|||
|
1億円を超え 3億円まで |
1万3000円 |
|
3億円を超え 10億円まで |
1万1000円 |
||
10億円を 超える部分 |
8000円 |
||
注意点
上記の基準を前提に,具体的に手数料を算出するには,下記の点に留意が必要です。
① 財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し,これを上記基準表に当てはめて,その価額に対応する手数料額を求め,これらの手数料額を合算して,当該遺言書全体の手数料を算出します。
② 全体の財産が1億円以下のときは,上記①によって算出された手数料額に,1万1000円が加算されます(遺言加算)。
③ 遺言書は、通常、原本、正本、謄本を各1部作成し、原本は法律に基づき役場で保管し、正本と謄本は遺言者に交付しますが、原本についてはその枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算され、また、正本と謄本の交付にも1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。
④ 遺言者が病気又は高齢等のために体力が弱り公証役場に赴くことができず,公証人が,病院,ご自宅,老人ホーム等に赴いて公正証書を作成する場合には,上記①の手数料が50%加算されるほか,公証人の日当と,現地までの交通費がかかります。
日本公証人連合会の遺言検索システムは、公証人から日本公証人連合会に遺言者の氏名、生年月日、証書番号、遺言作成日(遺言の内容は含みません)、作成公証人名、公証役場名、所在地、電話番号を報告させ、それをデータベース化して全国の公証人や利害関係人の照会請求に対応出来るようにしたものです。
遺言者が公正証書遺言の存在や保管場所を相続人や受遺者に知らせないで死亡した場合、など利害関係人が公正証書遺言の内容を早く確認する必要に迫られることがあります。
このような場合に本システムを利用すれば、公正証書遺言の有無や保管する公証役場が容易に判明出来るのです。
日公連は平成元年からデータベース化を始め、平成18年に累計100万件、平成29年8月に200万件となりました。金融機関から口座解約時に遺言の有無の証明を求められ、法定相続人などが照会するケースが多いそうです。
照会請求は全国どこの公証役場からでもでき、利用料金は無料です。