遺言の撤回・変更はいつでも可能
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができます。これは、遺言者の最終の意思を尊重するためで、その撤回に理由は必要とされず、また誰の同意も必要としません。
法定撤回事由
以下の場合には、その抵触する部分、破棄した部分については遺言が撤回されたものとみなされます。
遺言撤回の態様 |
効 果 |
遺言内容が抵触する遺言書が複数ある場合
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その抵触する部分については後の遺言書によって前の遺言書が撤回されたものとして扱われる。抵触しない部分については前の遺言書が依然として有効である |
遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合 |
その抵触する部分については遺言は撤回されたものとして扱われる |
遺言者が故意に遺言書を破棄したとき |
その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなされる |
遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したとき |
その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなされる |
事案・争点 |
原告の女性の父親(故人)は1986年、自宅や経営していた病院の土地・建物、預金など財産の大半を長男に相続させるとした自筆の遺言書を作成。父親が2002年5月に死亡した後、病院の金庫から見つかった。遺言書は用紙1枚で、文面の左上から右下にかけて赤色のボールペンで斜線が1本引かれていた。斜線の引かれた遺言書が有効か無効かが争われた |
1、2審 |
斜線を引いたのは父親と認定する一方、「文字が判読できる状態であれば有効」と判断。 |
最高裁平成27年11月20日 |
遺言書の文面全体に故意に斜線を引くことは、遺言全ての効力を失わせる意思の表れで、撤回したとみなされる |
撤回された遺言の効力
撤回された遺言は、その撤回の行為が撤回され、取り消され、または効力を生じなくなるに至ったときであっても、撤効力を回復しません。ただし、これには例外があり、撤回の行為が詐欺または強迫によるものである場合は、遺言の効力は回復します。
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