遺言は、遺言者の真意を明確に残すために、法律に定める方法に従うことが要求されます。民法上は、大きく分けると以下の5種類が定められていますが、ここでは普通方式による遺言の方式をご紹介致します。
遺言能力
遺言は、満15歳以上で、かつ意思能力があればだれでも作成できます。具体的には,
①未成年者は法定代理人の同意なく
②被保佐人は保佐人の同意なく
③被後見人は、事理を弁識する能力を一時回復したときに医師2名以上の立会により心神喪失の常況になかった証明がある場合
にそれぞれ遺言を作成することができます。
1 自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、 遺言者が、 (1)遺言書の全文、日付、氏名を自書し ,(2)これに押印することによって作成される遺言です。
2 自筆証書遺言のメリット・デメリット
メリット
・他の様式と比べ簡便(いつでも作成・修正できる) ・費用がかからない ・遺言書の作成を他者に秘密にしておくことができる |
デメリット
・紛失、毀損、偽造、変造の危険性がある ・形式不備によりその有効性が争いになったり、内容が不明確なため、その会社で争いがおきたりと、死後相続人間でトラブルがおきやすい ・検認が必要 |
1 公正証書遺言とは、
(1)証人2名以上の立会いがあること
(2)遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること
(3)遺言者が口授した内容を公証人が筆記して公正証書を作成し、 これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること
(4)遺言者及び証人が公証人の筆記の正確なことを承認した
後、 各自署名、 押印すること
(5)公証人が適式な手続に従って公正証書を作ご成したことを付
記して、 これに署名、 押印すること によって作成される遺言です。 後日の紛争回避という観点からは、公正証書遺言をすることが望まれます。
遺言公正証書:年10万件 背景に家族の形多様化 毎日新聞 2015年06月22日 07時30分(最終更新 06月22日 10時14分) 遺産相続を巡るトラブルを防ぐために、公証人の助言を受けて作られる遺言公正証書の年間作成件数が2014年に初めて10万件を突破した。高齢化の進展に加え、家族の形態が多様化し、法律の定めとは異なる相続を望む人が増えていることが背景にある。今後もニーズが高まることが予想されるといい、日本公証人連合会(日公連)は大切な遺言を確実に保管するために証書のデジタルデータ化にも取り組んでいる。【飯田憲】 |
2 公正証書遺言のメリット・デメリット
メリット
・形式不備によりその有効性が争いになる、内容が不明確なためその解釈で争いがおきるといった、死後相続人間でのトラブルを回避できる ・文字が書けなくても作成可能 ・紛失、改変のおそれがない ・相続開始後検認手続きを経る必要がない |
デメリット
・公証人の関与が必要で、方式が厳格 ・証人2人以上の立会が必要 ・費用がかかる |
1 秘密証書遺言とは
秘密証書遺言とは、(1)遺言者が遺言内容を秘密にしたうえで遺言を作成し、(2)公証人や証人の前に封印した遺言書を提出して遺言書の存在を明らかにすることを目的として行われる遺言です。
2 秘密証書遺言のメリット・デメリット
メリット
・遺言書は自書の必要がないため、自書能力がなくても遺言書を作成できる ・遺言書の「内容」を他人に秘密にしたまま、遺言書の「存在」を明らかにできる ・遺言書の偽造・変造の心配がほとんどない |
デメリット
・遺言内容が第三者に知られる危険性が少なくない ・作成時に公証人を利用しなければならないため、面倒な手続きと費用がかかる ・公証人は遺言の「内容」まで確認をするわけではないので、遺言としての要件が欠けてしまう場合もある ・執行時に家庭裁判所の検認の手続きが必要となる ・遺言書の滅失・隠匿の心配はある |
普通方式の遺言の種類と特徴
種類 |
自筆証書遺言 |
公正証書遺言 |
秘密証書遺言 |
作成方法 |
本人が遺言の全文・日付・氏名等を書き、押印する(ワープロ不可) |
本人が口述し、公証人が筆記する |
本人が遺言書に署名押印の後、遺言書を封じ、同じ印で封印する。 公証人の前で本人の遺言である旨と住所氏名を申述する。公証人が日付と本人が申述した内容を書く。 |
場 所 |
自由 |
公証役場 |
公証役場 |
証 人 |
不要 |
証人2人以上 |
証人2人以上 |
署名押印 |
本人 |
本人 公証人 証人 |
本人 公証人 証人 |
家庭裁判所の検認 |
必要 |
不要 |
不要 |
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