この遺言は本物?偽物?
本当に自分の意思で書いた遺言?
高齢者の遺言能力について
弁護士が説明します。
遺言は、満15歳以上で、かつ意思能力があればだれでも作成できます。具体的には、
未成年者 |
法定代理人の同意なく |
被保佐人 |
保佐人の同意なく |
被後見人 |
事理を弁識する能力を一時回復したときに医師2名以上の立会により心神喪失の常況になかった証明がある場合 |
にそれぞれ遺言を作成することができます。
遺言能力の有無が争点になる場合の判断材料として、以下の3点が挙げられます。
①遺言時における遺言者の精神上の障害の存否内容程度 ②遺言内容それ自体の複雑性 ③遺言の動機理由(遺言者と受遺者や相続人との交際状況や遺言に至る経 緯) |
(1)遺言時における遺言者の精神上の障害の存否内容・程度
遺言時における遺言者の精神上の障害の存否内容・程度を立証するうえでよく利用される証拠として、①遺言時やその前後の診断書・②HDS-RやN式老年者用精神状態尺度や柄澤式老人知能の臨床判断基準など精神心理学的検査結果、③担当医師の供述、④遺言後の後見開始審判における精神鑑定、⑤入院記録や看護記録、⑥遺言時の状況に関する公証人や立会人などの供述・同居者の供述などがあります。
(2)遺言内容それ自体の複雑性
ここでは遺言内容それ自体と遺言者の日常の知的能力との相関性を探ることになります。すなわち、複雑な遺言内容であればそれに見合った知的能力が要求されることになります。
(3)遺言の動機理由(遺言者と受遺者や相続人との交際状況や遺言に至る経緯)
そういった遺言をするだけの動機があったのか、具体的には、相続人をないがしろにして受遺者を厚遇することが自然か、あるいは、そのような遺言をその時期に作成することが余りに唐突でないかなどを検討します。ここでよく利用される証拠としては、遺言者の日記やメモ、生前の遺言者との交際状況に関する供述などがあります。
遺言能力は法的判断です。
常に医学的見地と一致する
というわけではありません。
詳しくは弁護士にご相談ください。