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相続税の計算

STEP1 資産整理

 相続税対策をする前に、まずは被相続人の資産を把握する必要があります。高齢になればなるほど認知能力も落ちますし、バラバラになった財産を把握することが難しくなりますので、資産の全容を把握することが一層難しくなりますので、相続財産となる資産整理は早めにスタートすべきでしょう。

相続財産

チェック事項

現金

 

預貯金

金融機関名・支店名・口座種類・口座名義・残高

有価証券(株式・債券・投資信託)

金融機関名・銘柄名・株数・額面・口数・時価

生命保険・個人年金保険

保険会社名・連絡先・証券番号・契約者・被契約書・年金開始日・年金支給額・年金受取人・死亡保険金・死亡保険金受取人

公的年金

年金の種類・年金手帳番号・年金事務所・連絡先・支給額

不動産

名義人・抵当権設定の有無・設定額・路線価・相続税評価額

債務

金融機関名・支店名・借入残高・毎月の返済額・返済日・完済予定日

連帯保証債務

 

STEP2 相続税額を算出する

 相続財産の全容を把握したら、今度は相続税額かかかるのかどうか、かかるとしたらいくらかかるのかを算出してみましょう。

1 不動産の評価額を把握する

相続税額を算出するにあたり、ほとんどの事案で重要になるのが不動産の評価額だと思います。

(1)土地

土地の路線価は、国税庁のHPで確認できます。路線価に面積を乗じれば、土地評価額が分かります。面積は、登記簿謄本や売買契約書で確認してください。路線価方式で求めることができない場合には、固定資産税評価額に一定倍率を乗じる方法で計算します。

 自宅で子供と親と同居するなどしていれば、小規模宅地(2014年までは240㎡、2015年以降は330㎡が上限)等の特例で80%の評価減となります。

(2)建物

 建物に関しては、固定資産税通知書に記載される固定資産税評価額が参考になります。

2 金融資産、その他重要財産の現況を確認する

 続いて、金融資産その他重要財産の現況をチェックします。

(1)預貯金は各金融機関から残高情報を集めます。有価証券は証券会社から届く書面で取引残高を確認します。

(2)控除

 死亡保険金は、法定相続人1人当たり500万円の非課税枠があるので、全体の合計額から控除できます。その他、葬儀費用や債務額も差し引きます。

本来の相続財産 相続や遺贈によてもらった被相続人所有の財産
  +    
みなし相続財産 被相続人が保険料を支払っていた生命保険金、死亡退職金
  +    

生前3年以内に

贈与でもらった財産

亡くなる日前3年以内に被相続人からもらった財産
  -    
非課税財産 相続や遺贈によってもらったお墓、仏壇、生命保険金や死亡退職金の一部など
  -    
債務控除 被相続人の債務、被相続人にかかる葬式費用
  =    
課税価格 相続や遺贈によって財産をもらった人の相続税がかかる金額
 
 

3 相続税の概算する

(1) 基礎控除額を計算

3000万円+(600万円×法定相続人数)=基礎控除額

(2)課税価格と基礎控除額を比較

  課税価格合計 > 基礎控除額 ⇒ 相続税がかかる

  課税価格合計 < 基礎控除額 ⇒ 相続税がかからない

(3)相続税早見表

配偶者の相続税額の軽減

 配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。

(1) 16千万円

(2) 配偶者の法定相続分相当額

 この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。

<ケース>

・相続財産が3億円。

・相続人が配偶者と長男の2人の場合

配偶者の相続分は3億円×1/2=1億5千万円<1億6千万円

この場合、配偶者が相続した財産のうち1億6千万円までは相続税がかかりません。

ただし、相続税の申告書又は更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。

 なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。

配偶者の税額軽減を受けるための手続

(1)税額軽減の明細を記載した相続税の申告書又は更正の請求書に戸籍謄本と遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど、配偶者の取得した財産が分かる書類を添えて提出してください。

 遺産分割協議書の写しには印鑑証明書も添付する必要があります。

(2)相続税の申告後に行われた遺産分割に基づいて配偶者の税額軽減を受ける場合は、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求という手続をする必要があります。


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