所有権移転登記手続請求事件
昭和四〇年(オ)第一〇八四号
同四一年七月一四日最高裁第一小法廷判決
遺留分権利者が民法一〇三一条に基づいて行う減殺請求権は形成権であつて、その権利の行使は受贈者または受遺者に対する意思表示によつてなせば足り、必ずしも裁判上の請求による要はなく、また一たん、その意思表示がなされた以上、法律上当然に減殺の効力を生ずるものと解するのを相当とする。従つて、右と同じ見解に基づいて、被上告人が相続の開始および減殺すべき本件遺贈のあつたことを知つた昭和三六年二月二六日から一年以内である昭和三七年一月一〇日に減殺の意思表示をなした以上、右意思表示により確定的に減殺の効力を生じ、もはや右減殺請求権そのものについて民法一〇四二条による消滅時効を考える余地はないとした原審の判断は首肯できる。