遺留分の事前放棄
(1)後継者以外の相続人の遺留分への配慮
現経営者の有する財産のうち、かなりの割合を自社株式や事業用不動産が占めるケースでは、後継者となる相続人以外の相続人の遺留分を配慮しなければなりません。この遺留分を無視した事業承継では、後日、後継者が遺留分減殺請求を受けることがあります。その際、会社支配権を構成する株式を保持するために現金が必要となり、現金がない場合には株式を手放す結果ことにもなり、会社支配権の移転自体が困難となりかねません。
(2)遺留分の事前放棄
遺留分減殺請求の可能性を残しておくと、会社支配権を構成する株式の承継が不確定となります。そこで、後継者となる相続人以外の相続人に相続開始前に遺留分の放棄をしてもらうことも可能です。
もっとも、遺留分の放棄は、当該推定相続人の同意が必要となりますので、生前贈与なども利用して、推定相続人の理解を得ることが重要となります。
なお、遺留分の放棄には家庭裁判所の許可が必要となります。