相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことができます。
(1)債務
差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものです。
なお、被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付又は徴収されることになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないもの(相続時精算課税適用者の死亡によりその相続人が承継した相続税の納税に係る義務を除きます。)であっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。
ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から差し引くことはできません。
吉本興業・創業家が申告漏れ…相続財産3億円分 2015年04月07日 09時28分 吉本興業(大阪市)の創業者一族で2009年に死去した林マサ氏の長男が、大阪国税局の税務調査で相続財産約3億1000万円の申告漏れを指摘されていたことがわかった。 過少申告加算税を含む追徴税額は約9000万円とみられる。 マサ氏は吉本興業初代社長・林正之助氏(故人)の長女で、同社元会長・林裕章氏(同)の妻。09年10月に死去し、長男が全遺産を相続した。 マサ氏は死の4か月前、兵庫県西宮市の賃貸マンションを約3億7000万円で購入。長男は、費用を同族会社から借りたとし、このマンションについての相続財産を約1億2000万円と申告した。 これに対し、国税局は、マンション購入は帳簿上の処理だけで現金は動いていない上、死亡2か月後に同社が買い戻した、などの点を指摘。同族会社を使った、相続財産を圧縮するための不合理な取引と判断し、購入費約3億7000万円全額を相続財産と認定した。 2015年04月07日 09時28分 Copyright © The Yomiuri Shimbun |
(2)葬式費用
葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことができます。
遺産総額から差し引くことができない債務
被相続人が生前に購入したお墓の未払代金など非課税財産に関する債務は、遺産総額から差し引くことはできません.
債務や葬式費用を遺産総額から差し引くことができる人
債務などを差し引くことのできる人は、その債務などを負担することになる相続人や包括受遺者(相続時精算課税の適用を受ける贈与により財産をもらった人を含みます。)です。
なお、相続人や包括受遺者であっても、相続又は遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がない人で次のいずれにも該当しない人は、遺産総額から控除できる債務の範囲が限られ、葬式費用も控除することはできません。
(1) 相続や遺贈によって財産をもらったときに日本国籍を有し、被相続人若しくは財産をもらった人が被相続人の死亡前5年以内に日本国内に住所を有したことがある
(2) 相続や遺贈によって財産をもらったときに日本国籍を有しないが、被相続人が日本国内に住所を有していること